サピックス中学入試分析会2023 国語なぐり書き

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先月行われたサピックスの2023年度中学入試分析会にて、先生方が言っていたことを書き起こしてみた、の国語編です。

出題傾向

例年の傾向通り直近の出版物からの出題が多い、首都圏難関校では、昨年出版された本からの出題が約3割、2年前までの作品が5割を占めている(これはここ数年変わっていない傾向)。最新の文章を使って作問する流れは今後も変わりなく続いていくと思う
そうなると必然的に説明的な文章においては、世間で話題になっている事柄についての問題が多くなる

今年度の題材例:コロナ渦
女子学院中:コロナ禍での、今まで意識してこなかった人間関係、つながりが顕在化したと述べた上で、身近にいても関わることのなかった他者ともつながりが生まれ、支えあう意識が持てるようになったと、コロナ後のポジティブの面を切り取った
早稲田実業中:夏井いつき・これまで冬の季語であった「マスク」について、このまま皆が一年中マスクをつけている状態が続けば、マスクが冬の季語でなくなるのではないかという文化へのネガティブな影響という観点から出題

→同じテーマでも肯定的、否定的、どちらからの視点でも対応が求められた(複眼的視点)
一般的に「良い」とされているものに対して、批判的な意見で語られた文章での出題が目立った
例:SDGs、多様性などをテーマにした問題

他者との壁、隔たりをテーマとした文章が多く見られた

外から与えらえた情報や、自分の考えといった一つの立場に固執することなく、様々な観点から物事を捉え判断できるしなやかさ、自分自身で考え抜くことが出来るしなやかさをもった受験生が求められている

また、開成、麻布、駒場東邦中ではいずれも「平凡で目立たない、隅に追いやられた存在」である人を主人公としている文章であった
受験生に向かって、目立たない人や弱者に寄り添う優しさとか、立場の異なる他社への想像力といったものが大切であると訴えているようにも見える

大人視点で受験生には共感しづらいハードな内容も多く、このような問題に対応するためには、直接的、間接的な経験を元に他者の状況を推し測る想像力と、本文に書かれている情報をきちんと整理した上で、筋道を立てて人物の心情を理解していくという論理性の二つの力が必要
「俯瞰的な視野を持つ大人」であることが求められている

設問の傾向

編集者の視点

何気なく文章を読み流すのではなく、一文一文表現を味わい尽くしてまで理解することが求められている
筑波大付属駒場中:「暴れて、割った」という表現についてが出題
弟がガラスを割ったことを他の子から指摘された主人公が、普段の弟はとてもおとなしく慎重であるのに、ガラスを割ったということで、それがうまく結びつかず混乱している、という描写
「暴れて割った」と「暴れて、割った」の違い
読点が打たれている理由に気付くことが必要な問題だった

「読解の神は細部に宿る」

根底にある常識

解答は本文中にあるというのが国語学習の基本姿勢であるが、答えの根拠が本文中に明確になく、学校側が「常識の範疇」とするものが答えの根拠となる場合がある(文中に答えがない)

例:青山学院中 主人公の行動と似ている「イソップ寓話」を選ぶ問題
イソップ寓話の内容を常識の範疇としている(内容を知っていないと答えられない)
→イソップ寓話に限らず、昔話や歌い継がれてきた童謡などの認知度は年々下がっているような印象を受ける
以前、筑波大付属駒場中で「かさじぞう」の話が出てきたので生徒に「かさじぞう」を知っているか聞いたところ3分の1くらいが知らなった
かさじぞうの他に知っておかなければならない話はあるかと聞いてきた生徒もいたが、そういうことではない、小さい頃から常識の範囲内でそういったものが理解出来ているかというところが試されている

その他の例
浦和明の星中:聖書の一節「人はパンのににて生くるものにあらず」の「パン」を答えさせる問題
→カトリックミッションスクールである浦和明の星中が受験生に対し、聖書の内容を常識として求めていることがよく表れている問題だった

東邦中:10年前にロシアに行った時の思い出を今になって文章に描いた筆者の思いを考えさせる問題
→本文には一切戦争については書かれていないが、説明に「この文章は2022年5月20日発売の雑誌で発表されたものである」という条件がついていたところから、ロシアのウクライナ侵攻と関連づけて答える必要があった

大妻中:「空の青色と花畑の黄色は○○だから、ウクライナのことと結びつけているんだ」とあり○○を答えさせる
→ウクライナの国旗が答え
「月に一度の『いろんな地域の料理デー』で、〇〇料理だった。ラフテーにゴーヤチャンプルーとツナのサラダ。ソーメンチャンプルーとさーたーアンダギー。」
→沖縄が答え

聖書のの聖書の内容、戦争などの時事的問題、地域文化など、幅広い常識力が求められる
国語の読解問題は本文に書かれていることを理解するのが基本だが、その前提には、書かれていないけれども常識、共通了解となっているものが土台としてある
その土台の範囲がとても広がって来ている

大学入学共通テスト(共テ)を意識した問題

特に図表やグラフを用いた問題が多く見られ、情報を複合的に捉える必要があった
他にも、生徒同士の会話で問題を振り返る、いわゆるアクティブラーニング形式の問題が出ている、こうしたものは今後も増える予想
→目先が変わって特殊な感じもするが、基本は読解力があれば解ける問題であった

日頃の勉強の仕方について

常識の拡大

国語の入試問題で求められている常識の範囲は年々広がって来ている、多くの情報に触れ、受験生自身が自分でしっかりと感じて考える力を養うことが必要
保護者も、興味関心が広がるような声かけを実践してほしい

気づきの力を養う

国語の文章は基本誰でも読めるものだが、「読めた」と「理解した、納得した」の間には大きな隔たりがあり、この隔たりを生み出しているものが「気づきの有無」だと思う
気づきの力を育むにはやはり「他者の視点」が必要、授業において講師やほかの友達からの指摘によって「ああなるほど」という気づきを重ねることが国語の力を伸ばしていくのが大事な要素となる

粘り強さ

精神論になってしまうが、やはり粘り強く取り組んでほしい
国語はメキメキと力をつけていくというのはなかなか難しく、あきらめてころころやり方を変えると成長しない
スタイルを変えず、自分の頭で粘り強く考えていくことが伸びていく力の源なんだと思う

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